発達障害(神経発達症)

発達障害(神経発達症) DEVELOPMENTAL

発達障害(神経発達症)について

「なんで自分はできないのだろう・・」
その悩みは発達障害(神経発達症)の
可能性があります

発達障害(神経発達症)とは、幼少期からあらわれる発達のアンバランスさによって、脳内の情報処理や制御に偏りが生じ、日常生活に困難をきたしている状態です。特定のことには優れた能力を発揮する一方で、ある分野は極端に苦手といった特徴がみられます。
こうした得意なことと苦手なこととの差は誰にでもありますが、発達障害(神経発達症)がある人は、その差が非常に大きく、得意なことを生かして社会的に成功する方もいれば、不得意なことで日常生活や学校/社会生活に支障をきたしている方もいます。
幼児のうちから症状があらわれ、年齢とともに軽くなる事はありますが、その特性はほとんどの方で終生みられます。また個人差がとても大きいことも特徴です。

大人の発達障害について、
なぜ大人になるまで
見過ごされるのか?

成人になって初めて発達障害(神経発達症)と診断される方も増えています

発達障害(神経発達症)のある人は、「相手の気持ちを読めない」「注意のコントロールが苦手」「落ち着きがない」などの特性のため、子どもの頃から集団に馴染めないということが起こりがちです。そのため、いじめにあったり、周囲に合わせようと無理をして、辛い思いをしてきたという人も少なくありません。なぜ大人になるまで発達障害(神経発達症)を見過ごされることが起きるのでしょうか。

周囲の環境や人間関係によるものが
大きいと言えます

学校では、決められた日課に沿って生活し、与えられた課題をこなしていれば、人付き合いが苦手であってもあまり問題にはなりません。勉強ができれば、多少場違いな行動があっても、先生や親がフォローしてくれます。家族や先生、仲のいい友達といった限られた人間関係の中では、発達障害(神経発達症)の特性も「個性的」ということで認めてもらえるかもしれません。

しかし、社会人になると人間関係は複雑になり、いろいろな人とやりとりをしなければならなくなります。相手の表情や空気を組み取ったり、周囲に合わせて行動したりなど、高度なコミュニケーション能力や社会性を要求されるようになります。また仕事や学習においても、人から与えられるものだけでなく、自ら計画を立て、主体的にアプローチしていくことが求められます。そうした周囲からの要求によって、それまで潜在的にあった特性が一気に浮かび上がってきて、社会生活に支障をきたすということが考えられます。
また、発達障害(神経発達症)という概念が知られるようになってきたのはごく最近であり、以前はその特性からもたらされる失敗や困難さを、本人の努力不足や親の育て方のせい、とされることはよくありました。今でもそうした傾向は残っています。そんな誤解の中で自らの特性や対処法を学ぶことなく育ち、社会に出てから頑張って働こうとしてもやはりうまくいかず、深く傷つく中でようやく「発達障害(神経発達症)」という言葉と出会い、診断を受けた、というケースも少なくないのが現実です。

発達障害(神経発達症)の種類

ASD(自閉スペクトラム症)

コミュニケーションおよび
相互関係の障害

柔軟に考えて対応することが苦手で、場の空気を読むことや機転をきかせることが苦手です。また、人の気持ちを理解するのが苦手なため、学校や職場での人間関係が上手く築けません。相手と視線を合わさなかったり、表情や態度などから相手の気持ちをくむ事が出来ず、興味のあることを一方的に話し続けてしまう、相手が傷つくことを知らずにしてしまったりすることがあります。また、俗にいう行間が読めないため、言葉の意味を文字通りにとらえるので、冗談や比喩が理解できないことがあります。

同一性へのこだわりや
興味・関心の狭さ

他人の動向を見ずに、自分に興味があることだけに注意が集中するため、周囲が見えなくなり、例えば、仕事中に話しかけられても気付かなかったりすることがあります。また、一つにこだわるため注意を切り替えることが苦手で、別の用事を急に頼まれると混乱することがあります。自分のやり方や手順に強いこだわりがあるため、必要な変更や変化を柔軟に受け入れられず、急に予定を変えられるとパニックになることがあります。

その他の特性

知覚過敏、特に聴覚過敏が特徴的で、ある特定の音や騒がしい場所では音に過度に反応して非常に疲れたり、逆に全く耳に入らず鈍感になることがあり、他者とのやりとりができにくくなることがあります。

症状
ASD(自閉スペクトラム症)
の症状
  • 相手の顔(目を)見て話すのが苦手
  • 集団行動が苦手
  • 雑談では何を話してよいかわからなくなる
  • 音や光に過敏
  • みんなでの会話では話についていけなくなる・話に入っていけない
  • 空気を読むということがよくわからない・苦手
  • 周りの人が普通にやっていることが、自分はなぜかできない

ADHD(注意欠如・多動症)

注意欠如、多動症(ADHD)には、不注意、多動性、衝動性の3つの症状があります。
一般的に子どものうちは多動性が目立ち、大人になると多動性が目立たなくなり、相対的に不注意が目立つようになります。また、注意欠如・多動症(ADHD)の人は感情が強く表に出やすい傾向があり、大人になってもこの症状は治まらず、衝動的に職場や家庭内で暴言が出たり、時には暴力という形で出ることがあります。
その他にも、好きな事に対する集中しすぎ・のめり込み・依存傾向があるため、大人の場合はアルコールや薬物、ギャンブル等への依存が問題となることもあります。

不注意

不注意とは集中力や注意力が続かないため物事に注意を向けることを持続できないことです。
物をなくすことや忘れ物が多い、人の話を一定時間集中して聞けないなど

衝動性

予測や考えなしに衝動的に行動してしまう、相手の話を待てないなど

多動

落ち着きがない、動き回る、しゃべりすぎるなど

症状
ADHD(注意欠如・多動症)
の症状
  • 勉強や仕事でケアレスミスが多い
  • お喋りが止まらない
  • 思ったことをすぐ口にしてしまう、一言多い
  • 1つの物事に集中することが苦手
  • 物音や話し声がするとすぐに集中が切れる、注意がそれる
  • 自分が興味を持つことや好きな事には積極的に取り組むことができるが
  • 集中し過ぎてしまう。切り替えが苦手
  • 忘れ物や物を無くすことが多い
  • 片付けや整理整頓が苦手
  • 約束や時間を守ることが苦手
  • 勉強や仕事の優先順位が分からないことがある
  • 落ち着いてじっと座っているなどのことが苦手

LD(学習障害)

学習障害(LD)の主な症状は、知的な遅れは見られないものの「読み」、「書き」、「算数(計算)」などの特定の分野が非常に困難である状態のことをいいます。ただ単に国語や算数の成績が悪いといった事を指すわけではありません。聴覚的または視覚的短期記憶や物事の順番を認識する能力、聞いたものや見たものを処理する能力のアンバランスさが、結果的に「読み」、「書き」、「算数(計算)」の苦手さとしてあらわれるのが学習障害(LD)の特徴です。
学習障害(LD)の症状は、子供のころから発症するものであるため、加齢により「読み」、「書き」、「算数(計算)」の能力が落ちてくることとは関係がありません。「読み」、「書き」、「算数(計算)」の障害の中では、「読み」と「書き」の能力の障害がセットになってあらわれることが特徴です。

「読み」「書き」の障害

「読み」「書き」の障害とは、読んだり書いたりすることに困難さがあらわれる症状をいいます。
例えば、文字の形を捉えることが苦手だったり、実際に自分で読み書きができていても、文字を思い出すのに時間がかかるというような事です。
一般的な人は、文章を読む際に無意識に単語のまとまりを作って読んでいるのですが、「読み」「書き」の障害がある人は、文字を一文字ずつ追って文章を読むため、文章を読むのに時間がかかります。日常会話は普通にできるため、普通に接しているだけではそのような障害があることが分かりにくいことがほとんどです。

「算数(計算)」の障害

これも先天的な物で「計算や数の概念を捉える」ことや、例えば算数の文章問題を解くなどの「推論する」ことに困難さを抱える症状が出ます。単に勉強としての算数や数学が苦手な事かと思われがちですが、そうではありません。「算数(計算)」の障害を持つ人は短期的な記憶や視覚的な認知が弱かったりといった認知能力の偏りがあります。

症状
LD(学習障害)の症状
  • 文字をひとつひとつ拾って読む(逐次(ちくじ)読み)
  • 文末などを適当に変えて読んでしまう
  • 拗音(ようおん)や促音(そくおん)を間違えたり、読み飛ばしたりする
  • 鏡文字を書いてしまう
  • 文字を書くスピードが遅い
  • 漢字を覚えられない
  • 文字をバラバラの大きさで書いてしまう
  • 算数・数学の概念や計算を学ぶことが難しい
  • 図形やグラフが苦手で、うまく理解できない