不安症(不安障害)について
不安症は、様々な疾患を含む
概念となります
不安症(不安障害)は、パニック症(パニック障害)、社交不安症(社交不安障害)や恐怖症など、様々な疾患を含む概念となります(不安神経症と呼ばれることもあります)。
「全般性不安症(全般性不安障害)」とは、全般性とあるように、不安の原因がある特定の物や状況に限定されるのではなく、日常生活上の様々な場面で不安や心配が引き起こされてしまい、コントロールが利きません。このため生活に大きな支障をきたし、不安におちいると、不安感だけでなく、発汗や動悸、息苦しさなどの身体症状もあらわれることがあります。
本来であれば、周囲の状況から安全が確認されると不安は消えていきますが、この「安全確認から不安が消失する」というコントロールがうまく働かずに、常に不安にさらされてしまうのが全般性不安症です。
パニック症(パニック障害)
について
パニック発作が主となる病気です
パニック症は不安症(不安障害)のひとつで、不安を伴う症状のなかでも「パニック発作」が主となる病気です。
突然、動悸や息苦しさ、極度の不安感を伴う「パニック発作」が起こります。例えば、電車や飛行機、エレベーターといった閉鎖空間、いざというとき逃げ場がないような場所、映画館やトンネルなどの暗い場所、人混みなど、不安や緊張をかきたてられやすい状況で起こることが多いです。
パニック発作とその他の症状
発作自体は10分程度でピークとなり、長くても30分~1時間以内におさまることがほとんどです。
しかし発作を繰り返すうちに、「このまま死んでしまうのではないか」とまで感じるような不安感が強まります。このパニック発作に加えて、「また発作が起こるのではないか」と予期する不安も生じ(予期不安)、発作が起こりそうな場所やシチュエーションに不安を感じてそこを避けるようになります(広場恐怖)。
このような症状・
お悩みはありませんか?
- 胸がドキドキする
- 息が苦しい
- 息がつまる
- 冷汗をかく
- 手足の震え、しびれ、顔の震えが生じる
- 胸の痛みや不快感をもよおす
- めまい、ふらつき、気が遠くなるような感じがする
- 自分が自分でないような感じがする
- 寒気、またはほてりを感じる
- 発作による突然の死の恐怖に見舞われる
など
社交不安症(社交不安障害)
について
対人場面で強い不安にかられ、
日常生活に支障をきたしていませんか?
さほど親しくない人や大勢の人々を前にしたところで緊張し、不安を感じたり、心配になったりすることは誰にでもありますが、緊張や不安、心配が強過ぎて、日常生活に支障をきたすようになると社交不安症(社交不安障害)の可能性があります。
社交不安症では、親しい人以外の人と話したり、人前で食事をしたり話したり文字を書いたりするような、注目や評価を受けるような対人場面で「失敗してしまったらどうしよう」などの思いにかられ、緊張や不安、心配が過度に強くなるのが特徴です。
強い不安と緊張のためにうまく話せなかったり、声が出なかったり、動悸や震え、吐き気、腹痛などの身体症状を伴うこともあります。
このような症状・
お悩みはありませんか?
- 初対面の人、上司など目上の人、大勢の人の前で話すのが緊張する
- 銀行の窓口、結婚式の記帳など、人前で字を書くときに手が震える
- 人と一緒に食事をするのが苦手
- 会議など静まり返った状況や人前でお腹が鳴る、おならが出るのではと不安になる
- レストランや電車の中で人の視線が気になる
- 後ろで人が待っている時など人がいると緊張して排尿できない
- 職場などで電話に出る時に周囲の人や相手に変に思われないかと不安になり緊張する
など
強迫性障害について
心配する必要はないと理解していても、
つい不安が浮かんでしまうことは
ありませんか?
強迫性障害とは、自分でもつまらないことだとわかっていても、そのことが頭から離れず何度も同じ確認を繰り返すような、不合理な考えや行動が特徴です。
いくら洗っても不潔に感じてしまい何度も手を洗う、繰り返し戸締りを確認せずにはいられない、ガスの火を消し忘れた気がして何度も家に戻ってしまう等といった考えや行動を繰り返し、日常生活に支障をきたすようになってしまいます。
このような症状・
お悩みはありませんか?
- 家の鍵を閉めたか何度も確認する
- 頭の中での確認に時間がかかる
- ものを溜め込み捨てられない
- 持ち物を綺麗にしないと家に入れない
- 無意味な行動で気を紛らわそうとする
- 病気になることを過剰に気にしてしまう
など
「強迫観念」と「強迫行為」が
二大症状です
強迫観念
それが「不合理」だとわかっていても、頭から払いのけることができない考え
強迫行為
強迫観念から生じた不安に掻き立てられて行う行為
強迫観念と強迫行為の代表的なもの
不潔恐怖
床に落ちたものを手で触れない、公衆トイレの便座は知らぬ人が使用していて使用できない、目に見えない菌や汚れが気になる、などがあります。
洗浄強迫
トイレから出たのち、尿や便で手が汚れていると思い何回も手を洗ってしまう、外出し帰宅したのち、外の菌を持ち込んだと不安になり入浴に何時間も費やす、などがあります。
加害恐怖
駅のホームを歩いていて、人を突き飛ばすのではないか、自分が誰かに危害を加えたかもしれないという不安を払拭できず、事件・事故として報道されていないかどうかを気にしてしまいます。
確認強迫行為
戸締り・火の元が気になり何回も確認してしまう、個人情報が漏れないよう確認する、仕事場から帰宅する際、職場の鍵を何回も確認してしまう、などがあります。
不完全恐怖
物事に万全を期したい、あるいは完璧を目指したい気持ちが強く、多くは不安を打ち消すために何回も確認をしていまいます。
縁起恐怖
悪いことが起きる気がしてやり直しを何回もしてしまう、嫌なイメージが浮かんで何回もやり直す、などがあります。
日常生活や社会生活、
家族や周囲が困っていませんか?
強迫観念・強迫行為が強まってくると、費やす時間やエネルギーも相当のものとなってきます。さらに、日常的に強い不安を抱えていると心身が疲労してしまい、健全な日常生活を送ることが難しくなります。
また、自分だけが火の元や戸締まりの確認を頻繁にしたり、不潔と感じる場所を消毒したりするだけではなく、家族や周囲へも強要するようになることもあります。結果として家族関係や人間関係がうまくいかなくなってしまいます。まずはご相談ください。